タンパク質をもっと摂ったほうがいいとは聞くものの、1日に具体的に何グラム必要なのかは、情報によって幅があって分かりにくいものです。運動量別の目安、食事摂取基準の数値、プロテインの宣伝文句などが入り混じり、自分はどれに合わせればいいのか迷いやすい領域です。
この記事では、筋トレやボディメイクをする人を対象に、1日のタンパク質量の目安を研究の数値とともに整理します。さらに、合計量だけでなく、目的による違い、1回あたりの量と配分、摂りすぎの頭打ち、計算の基準(体重か除脂肪体重か)、安全性まで踏み込みます。男女共通で使える内容です。
監修者も、食事を記録して初めて、自分のタンパク質が思っていたより足りていなかったことに気づいたといいます。まず必要量を知り、次に記録で過不足を確かめる、という順番が実践の近道です。
この記事でわかること
- 筋トレ目的で1日に必要なタンパク質量の目安(体重1kgあたり1.6g前後)
- 合計だけでなく、1食20〜40gを3〜4回に分ける配分の考え方
- 摂りすぎの頭打ちと、体重・除脂肪体重どちらで計算するか
1日の目安は体重1kgあたり1.6g前後
筋トレをしている人の1日のタンパク質量は、体重1kgあたり約1.6gが一つの目安です。幅としては、おおむね1.4〜2.0gの範囲とされています。
国際スポーツ栄養学会(ISSN)が2017年に示した公式見解では、運動している人のタンパク質量として体重1kgあたり1.4〜2.0gが推奨されています。Mortonらが2018年に報告したメタ分析でも、レジスタンストレーニングをしている人では体重1kgあたり約1.6gがおおよその目安として示されています。たとえば体重60kgなら、60×1.6=96gが出発点です。
一方で、運動をほとんどしない人の健康維持の目安はこれより低く、世界保健機関(WHO)は体重1kgあたり約0.8g、厚生労働省の食事摂取基準では成人男性で1日65g、女性で50gが推奨量とされています。筋トレをする人がこの水準でとどまると、筋肉の維持や増加には届きにくくなります。まずは体重に1.6gを掛けた値を基準に置いてください。
目的で変わる:維持・増量・減量
タンパク質量は、目的によって微調整します。維持と増量は1.6g前後で足りますが、減量期はむしろやや高めにするのが基本です。
減量中は摂取カロリーを抑えるため、体は筋肉も分解してエネルギーに回そうとします。タンパク質を多めに確保することで、この筋肉の分解を抑えやすくなります。そのため、減量期は先ほどの幅の上寄り、おおむね体重1kgあたり2.0g前後まで引き上げることが、筋肉を守るうえで有利とされています。体重60kgなら、減量期は110〜120g程度を狙うイメージです。
増量期は、タンパク質を極端に増やすより、1.6g前後を確保したうえで、エネルギーとなる炭水化物をしっかり摂るほうが効果的です。タンパク質は「増量期に最大化するもの」ではなく、「どの局面でも下限を割らないように確保するもの」と考えると整理しやすくなります。
摂りすぎても頭打ちになる
タンパク質は、多く摂るほど筋肉が増えるわけではありません。ある水準を超えると、筋肉量の増加は頭打ちになります。
Mortonらの2018年のメタ分析では、体重1kgあたり約1.6gを超えてタンパク質を増やしても、除脂肪体重の増加はそれ以上大きくならないと報告されています。つまり、減量期の上限を考えても、体重1kgあたり2.0〜2.2g程度までを見ておけば十分で、それ以上に大量に摂っても、筋肉づくりの面での上積みは期待しにくいということです。
過剰なタンパク質は、その分のカロリーが増えて減量の妨げになったり、他の栄養素(炭水化物や脂質、食物繊維)の摂取を圧迫したりするデメリットもあります。やみくもに増やすのではなく、目安の範囲に収めるのが効率的です。
合計だけでなく「1回あたり」と配分
1日の合計を満たすだけでなく、1回あたりの量と、1日の中での配分も重要です。同じ合計量でも、配分しだいで筋肉づくりへの効きが変わります。
筋肉の合成は、1回の食事で一定量のタンパク質を摂ったところでおおよそ最大に達します。目安は1食あたり20〜40g、体重1kgあたりにすると0.3〜0.4g程度です。ISSNの2017年の見解でも、1回あたり体重1kgあたり0.25〜0.55gを、3〜4時間おきに摂ることが勧められています。一度に大量に摂るより、3〜4回に分けて均等に配分するほうが、1日を通して筋肉の合成を保ちやすくなります。
実際には、朝食のタンパク質が不足しがちな人が多く、夕食に偏りやすい傾向があります。朝・昼・夜と、必要ならトレーニング後や間食で、各回20〜40gを意識して散らすと、合計も配分も整えやすくなります。
体重と除脂肪体重、どちらで計算するか
タンパク質量を計算するとき、体重で計算するか、除脂肪体重で計算するかという論点があります。標準的な体型なら体重ベースで問題ありませんが、体脂肪が多い場合は除脂肪体重ベースのほうが現実的です。
タンパク質を必要とするのは主に筋肉などの除脂肪部分です。体脂肪率が高い人が体重ベースで計算すると、必要量が過大になりやすく、カロリー過多につながることがあります。その場合は、除脂肪体重(体重×(1−体脂肪率÷100))を出し、それに1.6〜2.0gを掛けると無理のない量になります。たとえば体重80kg・体脂肪率30%なら、除脂肪体重は56kgで、56×1.8=約100gが目安です。
標準的な体脂肪率の人は、計算が簡単な体重ベースで十分です。自分の体格に合わせて、計算の土台を選んでください。
高タンパクは体に悪い?安全性の考え方
高タンパク食は体に悪いのではないか、という不安を持つ人もいます。健康な人であれば、目安の範囲のタンパク質摂取が腎臓などを害するという確かな証拠は乏しい、というのが現在の一般的な見方です。
一方で、もともと腎臓の病気など持病がある人は、タンパク質の量を医師の指示に従って管理する必要があります。健康状態に不安がある場合は、自己判断で高タンパクにせず、医療機関に相談してください。また、タンパク質を増やすときは、水分をしっかり摂り、野菜や海藻などで食物繊維も確保すると、お通じや全体のバランスを保ちやすくなります。
安全性の面でも、やはり「目安の範囲に収める」ことが基本です。極端に多く摂ることにメリットは乏しく、ほどよい量を続けるのが現実的です。
不足を防ぐ実践:記録して可視化する
必要量が分かっても、実際に足りているかは、感覚では分かりにくいものです。多くの人は、自分で思っているよりタンパク質が不足しています。これを防ぐには、記録して数値で確かめるのがいちばん確実です。
監修者も、食事を記録して初めてタンパク質の不足に気づいたといいます。1日の目標量を決め、食べたものを記録して、残りが何グラムかを把握すれば、夜の食事や間食で何を足せばよいかが見えてきます。不足分は、鶏むね肉や魚、卵、乳製品などの高タンパクな食材や、必要に応じてプロテインで埋めると効率的です。
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まとめ
筋トレ目的の1日のタンパク質量は、体重1kgあたり1.6g前後が目安で、幅は1.4〜2.0g、減量期は筋肉を守るためにやや高め(2.0g前後)にします。ただし1.6gを超えると筋肉づくりの上積みは頭打ちで、減量期でも2.0〜2.2g程度までを見ておけば十分です。合計だけでなく、1食20〜40gを3〜4回に均等配分すると効きが上がります。
体脂肪が多い人は除脂肪体重ベースで計算し、健康な人なら目安の範囲のタンパク質は過度に心配いりませんが、持病がある場合は医師に相談してください。最後は、記録して過不足を数値で確かめることが、必要量を実際に満たすための近道です。PeakFitなら目標タンパク質量の算出と記録をまとめて行えます(iOS・無料)。PeakFitを使ってみる。
よくある質問
Q. 筋トレ中のタンパク質は1日どれくらい必要ですか。 A. 体重1kgあたり1.6g前後が目安で、幅は1.4〜2.0gです。体重60kgなら約96gにあたります(ISSN 2017、Morton ら 2018)。
Q. 減量中はタンパク質を増やすべきですか。 A. はい、やや高めにします。筋肉の分解を抑えるため、減量期は体重1kgあたり2.0g前後まで引き上げるのが有利とされています。
Q. 一度にたくさん摂れば足りますか。 A. 配分が大切です。1食20〜40gを3〜4回に分けるほうが、まとめて摂るより筋肉の合成を保ちやすくなります(ISSN 2017)。
Q. たくさん摂るほど筋肉は増えますか。 A. 増えません。体重1kgあたり約1.6gで筋肉量の増加は頭打ちになり、それ以上はカロリー過多などのデメリットが出やすくなります。
Q. 高タンパクは腎臓に悪くないですか。 A. 健康な人で目安の範囲なら、害する確かな証拠は乏しいとされています。ただし腎臓などに持病がある場合は医師に相談してください。
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※本記事は情報提供を目的としたもので、医療上の助言ではありません。持病がある場合や健康状態に不安がある場合は医療機関にご相談ください。


